top of page

カナデ

──9年前、とある事故が起きた。いや、それは事故というより災害だった。「災厄」だった。

 はじめこそ小さな事故だったのかもしれない。でもそれは波一つない水に波紋を起こすものだった。

 やがて波紋は大きな波になり広がった。

 なぜそれが起きたのか原因はわからない。自然的なものなのか人為的なものかは分かってない。

 だがはっきりしている事がある。
 それは多くの命を奪ったこと。

──当時小さな子供、無力な子供だった少年、成美もまたその「災厄」によって両親と声を無くしてしまった。


 無力な男の子はさらに無力に追い込まれた。
 それでも男の子は少年となり、生きている。

 

 「災厄」から10年──4月1日、曇りのち晴れ。

 この日、少年──古賀成美は怪しげな男から無理やり荷物を受け取ってしまう。

やたらとでかすぎる金属製の箱の処分に困り、とりあえずと中を開けてみると──そこには少女が入っていた。


これは少年、成美とアイと名付けられた機械少女のお話。

bottom of page